HIVに感染すると、2~6週の間で「発疹(ほっしん)」などの皮膚疾患が起こることがあります。
発疹以外にも、「風邪」や「インフルエンザ」に似た症が起こる場合があるのですが、このような症状のことを「急性HIV感染症」といいます。
「急性HIV感染症」は、HIVに感染した人の半数に起こるというデータがあります。
HIV感染者へのアンケートによると、症状があらわれた人の「70%」が「発疹」があったと回答しています。

ちなみに、「発疹」とはどのような状態のことをいうかご存知ですか?

発疹とは、「目で見て分かる、皮膚にあらわれる様々な症状全般」をあらわす言葉です。
「湿疹(しっしん)」「蕁麻疹(じんましん)」「あせも」なども「発疹」に含まれます。

発疹は、普段生活しているなかでも比較的多く起こる症状ですよね。
では、HIVによる発疹は、通常の発疹と比較して、何か特徴があるのでしょうか?

  • いつ頃から?
  • どのくらいの期間?
  • かゆみや色など特徴は?
  • どこにできるの?

などなど、気になりますよね。
今回は、「HIVによる発疹」について解説してみようと思います。

HIV初期症状による発疹はいつ頃あらわれる?

HIVによる初期症状(急性HIV感染症)は、HIV感染不安行為後「2~6週」で起こる症状です。
なぜ、「2~6週」かというと、この間に、HIVウイルスが爆発的に増えるからなんです。

HIV感染で初期症状が起こる原因は、HIVウイルスが急激に増えたことによる「ウイルス血症」によるものです。
注目していただきたいのが、HIVウイルスが急激に増え始めるのは、「2~6週」という点です。

HIVによる様々な症状は、HIVウイルスによる影響なので、発疹も「2~6週」の間にあらわれます。
HIV感染不安行為の翌日や、2~3日後に発疹があらわれてもそれは、HIVとは関係ない発疹と考えていいでしょう。

HIV初期症状による発疹はどのくらいの期間続く?

HIV感染による初期症状は、「1~2週間」続き、その後自然に治っていくと、多くの書籍やサイトで紹介されています。
なぜ「1~2週間」で治っていくのかというと、HIVに対する抗体ができるからなんです。

HIVに対する抗体は、HIV感染から「約3週」でできるというデータがあります。
抗体ができると、HIVウイルスの動きを弱めることができるので、初期症状も「1~2週間」でおさまっていくということなんです。

統計によると、HIVウイルスによる発疹は「約15日間」続くというデータもありますので、大体「1~2週間」と考えていいでしょう。

症状 発症日数
発疹 15日
発熱 16.9日
筋肉痛 17.7日
倦怠感 23.7日
頭痛 25.8日

HIV初期症状による発疹はどこにできる?かゆみや色など特徴は?

HIV感染による発疹は、実際にどんな症状があらわれるのか気になるかと思います。
HIV初期症状による発疹の場合、以下4つの発疹があらわれるというデータがあります。
以下に、その4つの発疹の特徴をまとめてみましたので、ご覧ください。

急性期皮疹

  • 胸や背中にあらわれる
  • 直径5~10mm程度の小さく赤い発疹
  • 丘疹(小さいぶつぶつ)

rash01

帯状疱疹

  • 胸から背中、腹部などによくあらわれる(顔や手足にもあらわれる)
  • 帯状の発疹
  • 赤い発疹と水ぶくれができる
  • 最初は患部がヒリヒリ、チクチクするような痛みから始まり、徐々に虫に刺されたような水ぶくれや赤い発疹になる

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単純ヘルペス

  • 体のあらゆる場所にあらわれる
  • 代表的なものとして、口周辺にできる「口唇ヘルペス」、性器周辺にできる「性器ヘルペス」がある
  • 小さな水ぶくれがいくつもでき、痛がゆい状態が続く

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脂漏性皮膚炎

  • 顔や頭、背中など、皮脂(あぶら)分泌が多い場所にあらわれる
  • かゆみを伴う赤い斑点(はんてん)のような発疹

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HIV感染が心配なら、性病に感染している可能性も高い

HIV感染による発疹を心配しているということは、セックスやフェラなどの性行為を行ったのではないでしょうか。
実際のところ、性行為によるHIV感染確率は非常に低い確率です。
しかし、HIVと同じ性行為で感染する性病(性感染症)は、かなり高い確率で感染してしまいます。

具体例を出しますと、日本で一番感染者数の多い「クラミジア」は、年間100万人以上の方が感染しているといわれています。
クラミジアの感染力はものすごく高く、50%の確率で感染するといわれています。

クラミジア感染者と性行為を行うと、50%の確率でクラミジアに感染するといわれています。

クラミジアなどの性感染症は、感染しても症状が出ないことがほとんどなので、実はすでにあなたがクラミジアに感染してしまっている可能性は、ものすごく高いです。
また、クラミジアに感染していると、HIV(エイズ)に感染する確率が、30%~50%も高くなるという報告もあるんです。

HIV感染を心配するのはもちろんですが、症状の出にくい性病こそ、一度検査を受けることをオススメします。

※20180309追記

実はいま一番注意しなければいけないのが、梅毒です。
2010年までは、毎年600人程度の感染者数だったのですが、それからは急激に感染者が増え、2016年は4,559人まで急増したんです。
2012年と比べてみると、なんと5倍以上・・・
梅毒は、早期に発見できればすぐに治療を始めることができますが、最終的に死に至る恐ろしい性病です・・・
もしも、最近不特定多数の方や、風俗で性行為を行ったようであれば、梅毒の検査を行うことを強くオススメします!

HIVによる発疹のまとめ

いつ頃あらわれる?

・HIV感染不安行為から「2~6週目」

どのくらいの期間続く?

・1~2週間
・15日間程度続くというデータもある

場所や特徴は?

・全身どこでもあらわれる
・赤い発疹(ちいさなブツブツ、帯状、斑点、水ぶくれ)
・ヒリヒリ、チクチク痛みをともなうこともある
・かゆみをともなうこともある


いかがでしたか?
発疹は、HIVに感染したから出るというものではありません。
HIVの初期症状は、熱が出たり、喉が痛くなったり、発疹があらわれたり、普段生活をしている中でも普通にあらわれるような症状ばかりです。
なので、症状だけでHIV感染を判断することができないんです。

例えば、これらの症状が一切ないのに、HIVに感染していたということもありますし、すべての初期症状が出たのに、HIV感染していなかったということもあるんです。

HIVは、検査をしなければ医師でも判断することが難しい病気です。
もしHIV感染不安があるようであれば、まずは検査を受けてみましょう。

いま抱えているそのモヤモヤや心の不安を、すぐに取り除くことができますよ。

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