淋病の症状や原因、治療方法まで徹底まとめ

淋病は、日本で3番目に感染者の多い性感染症です。
厚生労働省の性感染症報告数によると、2016年の淋病感染者報告数（定点報告）は、

男性	6,654人（前年6,905人）
女性	1,644人（前年1,793人）
合計	8,298人（前年8,698人）

参考：性感染症報告数｜厚生労働省

クラミジアや、性器ヘルペスの場合、感染者は女性の方が多かったのですが、淋病の場合、男性の感染者数が圧倒的に多いのが分かりますよね。

ただ、これにはいろいろと見解があり、女性の場合「淋病」に感染しても症状が出ることが少なく、「自分が淋病に感染していることに気づいていない人が多いのではないか」と考えられており、実際にはもっと多くの女性感染者がいると想定されています。

淋病の症状としては、男性の場合は、「ペニスから膿み」が出たり、「おしっこの時に痛み」が出たりします。
女性の場合、約80%の人は症状が出ません。
症状が出る場合は、「性器のかゆみ」や「おりものが増える」などの症状が起こります。

感染原因は、性行為によるものがほとんどです。
淋病は感染力の高い性感染症で、淋病感染者と性行為を行うと、30%の確率で感染するといわれています。

また、淋病に感染している場合、約30%の人が「クラミジア」にも感染しているというデータがあります。

それでは、淋病についてもっと詳しく解説していきますね。
（※以下、性感染症を性病と表記します。）

淋病（淋菌感染症）とは？

淋病は、「淋菌」に感染することで起こる感染症です。
先にも書いたように、淋病に感染している人の約30%は、性器クラミジア感染症にも感染しているというデータがあります。

淋菌自体は、感染者の粘膜から離れると、数時間で感染する力を失います。
また、太陽の光や、気温の変化、消毒液を使うことで簡単に死滅する非常に弱い菌です。

厚生労働省の「性感染症報告数」によると、感染者は「20代の男性」がもっとも多く、ついで「30代の男性」となっています。

データ上は、男性の感染者が圧倒的に多いのですが、これは女性感染者が、検査や治療を受けていないことが、この結果の要因ではないかと考えられています。
なぜ検査や治療を受けていないのかというと、女性は淋病に感染しても、約80%の人に症状が出ません。
また、症状が出ても「かゆみ」などの比較的軽い症状のため、淋病に感染していることに気づいていない女性が多く、実際にももっと多くの女性患者がいると考えられています。

淋病の症状は？
治療せずそのままにしたらどうなる？

淋病に感染すると、「ペニスから膿み」が出たり、「おしっこの時に痛み」 が出たりします。
以下に淋病感染時におこる症状を、男女別にまとめてみました。

性別	男性	女性
潜伏期間	2～1週間後	2～1週間後
症状	・ペニスから膿みが出る ・排尿時の痛み ・かゆみ、痛み ・睾丸の腫れ ・発熱をともなうことも	・おりものが増える ・排尿時の痛み ・かゆみ、痛み ・残尿感
治療しないと	・尿道炎 ・前立腺炎 ・無精子症	・子宮内膜炎 ・卵管炎 ・骨盤腹膜炎 ・子宮外妊娠 ・不妊症

淋病の治療をせずそのままにしていると、男性の場合は「無精子症」、女性の場合は「子宮外妊娠」や「不妊症」などの原因となります。

また、妊娠中の女性が淋病に感染した場合、赤ちゃんが結膜炎になったしまう可能性があります。

「結膜炎ならたいしたことないのでは？」

っと、思うかもしれませんが、淋菌が原因の「淋菌性結膜炎（膿漏眼）」の場合、重症化すると、角膜に穴が開いて失明する恐れがあります。

また、淋病などの性病に感染していると、HIV（エイズ）に感染する確率が、30%～50%も高くなるというデータもあります。

淋病に感染する原因は？

淋病は、主に性行為によって感染する性病です。
例えば、

• セックス
• アナルセックス
• フェラチオ
• クンニ

などの行為で、感染する可能性があります。

また、淋病は感染率の高い性病で、淋病感染者と性行為を行うと、30%の確率で感染するといわれています。

※淋菌は非常に弱い菌ですので、極めてまれなケースではありますが、淋病感染者が使用したタオルから感染したという報告もあるそうです。

淋菌は、主に性交や性交類似行為により、感染部位の粘膜との接触や分泌物との接触によりヒトからヒトに感染します。
これら以外にも手指やタオルを介しての感染が疑われる報告もあります。

引用元: 東京都感染症情報センター » 淋菌感染症　Gonococcal infection

淋病の検査はどこですればいいの？

淋病に感染しているかどうかの判断ですが、男性の場合はおしっこの時に痛みがあったり、膿みが出たりと、何らかの症状が出ることが多いので、淋病とは判断できなくても、何か性病に感染したと判断することはできるでしょう。
女性の場合は、約80%の人に症状が出ません。
症状が出ても、「おりものの増加」や「かゆみや痛み」など、比較的軽い症状があらわれる程度です。
そのため、自分が淋病に感染したことに気づかず、そのままにしてしまっていることが多いんです。

淋病に感染しているかどうかを確実に判断するには、検査を行うしかありません。
淋病の検査ですが、病院で検査を行う場合、

• 男性：泌尿器科
• 女性：産婦人科（婦人科）

で、検査を受けることができます。
病院で診察・検査を行う場合の費用もまとめてみました。

診察料	3,000～5,000円/1回
検査代	4,000円/1回

※上記は保険適用外のおよその金額です。保険適用については、病院の治療方針により異なります。

参考：STD研究所 性病の総合情報サイト

淋病に感染している場合、約30%の人が、クラミジアにも感染しているというデータがあります。
もしいままで、性病の検査を受けたことがなければ、一度性病全般の検査を受けてみることをおすすめします。

病院で検査を受けるのは、少し抵抗があるという場合は、性病の検査キットを使ってみるのも一つの方法です。

淋病は治るの？

淋病は、抗菌薬（抗生物質）による治療を行うことで治すことができます。

ただ、淋病は他の性病と比べてやっかいな性病なんです。
それは、淋病の原因となる淋菌が、抗生物質に対する耐性を持ってしまい、抗生物質が効かなくなっているんです。
これを耐性菌といいます。

抗生物質を使い続けていると、細菌の薬に対する抵抗力が高くなり、薬が効かなくなることがあります。このように、薬への耐性を持った細菌のことを薬剤耐性菌といいます

引用元: 耐性菌とは | からだとくすりのはなし | 中外製薬

性器ヘルペスの治療薬

淋病の治療は、

• セフトリアキソン
• スペクチノマイシン

を、注射して行われます。
※セフォジジムも淋病に有効な治療薬でしたが、2016年3月末で発売中止となっています。

日本性感染症学会の治療ガイドラインによると、淋病感染者に対して、最初に投与すべき治療薬は「セフトリアキソン」とされています。セフトリアキソン投与後に症状の改善が見られない場合は、「スペクチノマイシン」による治療が行われます。

実は、2009年に「セフトリアキソン」に対する耐性菌が日本で初めて報告されています。
その後、フランスやスペインでも耐性菌が報告されていますが、耐性菌の蔓延はしていません。

今度、セフトリアキソンの耐性菌が増えてくると、淋病を完治させることが難しくなってくる可能性も考えられます。

淋病感染を予防する方法は？

淋病は、セックスやフェラチオ、アナルセックスなどの性行為によって感染する性病なので、コンドームを正しく使うことで感染を予防することができます。

具体的には、具体的には、性行為の最初から最後までコンドームを付けましょう。
淋病はフェラチオやクンニなどのオーラルセックスでも感染するので、フェラチオの時もコンドームを付けておきましょう。
男性が女性にクンニを行う際は、オーラルセックス用コンドーム（デンタルダム）を使用しましょう。

コンドームやデンタルダム以前に、パートナーがいる場合は、一度二人で淋病の検査を受けることをオススメします。
もし自分が、淋病に感染していなかったとしても、パートナーが淋病であれば、あなたに感染します。
逆に、もし自分が淋病だったとしたら、パートナーを感染させている可能性もあります。

パートナーがいる場合は、2人で検査、2人で治療を行わないと、淋病のうつし合いになり、一生完治することはありません。

風俗を利用している男性は、気持ち良さが半減してしまうかもしれませんが、コンドームを付けて性行為を行うようにしましょう。
先にも書きましたが、淋病などの性病に感染していると、HIV（エイズ）に感染する確率が、30%～50%も高くなるというデータがあります。
あの時コンドームを付けていたら・・・と後悔しても、その時はもう戻ってきません。

淋病についてのまとめ

• 日本で3番目に感染者数の多い性病
• 女性の場合、約80%の人は症状が出ない
• 淋病感染者の約30%はクラミジアにも感染している
• 淋病に感染していると、HIV（エイズ）に感染する確率が、30%～50%も高くなる
• 治療せずそのままにしていると、不妊の原因となる
• お腹の中の赤ちゃんが「淋菌性結膜炎（膿漏眼）」に感染する可能性がある
• 1回の性行為を行うと、30%の確率で感染
• 抗生物質に対する耐性を持っている場合がある

いかがでしたか？

淋病はHIVや性器ヘルペスのように、一度感染すると完治することのない病気ではありません。
しかし、耐性菌が増えてきたことにより、今後完治させることが難しい性病になる可能性も考えられます。

また妊娠中の女性が感染した場合、お腹の中の赤ちゃんが「淋菌性結膜炎（膿漏眼）」という、重症化すると角膜に穴が開いて失明する恐れのある病気に感染する可能性もでてきます。

淋病を含め、もしいままで、性病の検査を受けたことがなければ、一度性病全般の検査を受けてみることをおすすめします。

いま抱えているそのモヤモヤや心の不安を、すぐに取り除くことができますよ。