性器ヘルペスは、クラミジアの次に感染者の多い性感染症です。
厚生労働省の性感染症報告数によると、2016年の性器ヘルペス感染者報告数(定点報告)は、

男性 3,619人(前年3,540人)
女性 5,555人(前年5,434人)
合計 9,174人(前年8,974人)

参考:性感染症報告数|厚生労働省

これだけ多くの方が、性器ヘルペスに感染しています。
性器ヘルペスの年間感染者数は、72,000人ともいわれています。

定点報告
いくつかの医療機関をあらかじめ選定し、そのなかで感染症に感染した(感染している患者を診察した)患者数を報告してもらう。すべての感染者数ではない。

ちなみに、「GH」と呼ばれることもありますが、これは 英語の「Genital Herpes」の頭文字を略しています。
性器ヘルペスの患者さんにアンケートを行ったところ、この病名に抵抗があるという方が、80%もあったことから、「GH」と略して呼ばれることもあるそうです。

性器ヘルペスの症状としては、男女ともに、かゆみ痛みを感じたり、赤いぶつぶつ水ぶくれができたりします。
男性よりも女性の方が重症化しやすい傾向があり、感染率も女性の方が多いというデータがあります。

感染原因は、性行為によるものがほとんどです。
性行為が感染の原因であれば、コンドームを使うことで感染が防げると思いますよね?
しかし、性器ヘルペスは、コンドームだけで感染を防ぐことのできないやっかいな性感染症なんです。

それでは、性器ヘルペスについてもっと詳しく解説していきますね。
(※以下、性感染症を性病と表記します。)

性器ヘルペスウイルス感染症とは?

性器ヘルペスは、「単純ヘルペスウイルス」が原因で起こるウイルス感染症です。
この単純ヘルペスウイルスは、

  • 1型:HSV-1
  • 2型:HSV-2

の、2種類があります。

1型は、口唇ヘルペスの原因となり、「くちびる」や「顔」など、上半身に症状があらわれます。
2型は、性器ヘルペスの原因となり、「性器」など、主に下半身に症状があらわれます。

ただ最近では、1型のヘルペスウイルスが原因で性器ヘルペスに感染したという割合も増えてきました。
これは、フェラチオや、クンニなどのオーラルセックスによって、口から性器へ感染しているんです。

ですので、いまでは1型、2型ともに、性器ヘルペスの原因になると考えていいでしょう。

厚生労働省の「性感染症報告数」によると、感染者は「20代の女性」がもっとも多く、ついで「30代の女性」となっています。
すべての年代を見ても、女性の感染者が多く、女性が感染しやすい性病です。

性器ヘルペスの症状は?
治療せずそのままにしたらどうなる?

性器ヘルペスに感染すると、 かゆみや痛みを感じたり、赤いぶつぶつや水ぶくれができたりします。
女性の場合はおしっこができないくらい強い痛みになることもあるそうです。
以下に性器ヘルペス感染時におこる症状を、男女別にまとめてみました。

性別 男性 女性
潜伏期間 2~10日前後 2~10日前後
症状 かゆみ、痛み、ヒリヒリ感
赤いぶつぶつ
水ぶくれ
水ぶくれが破れると、皮膚がただれる
強い痛みが出ることも
太もものリンパ節の腫れ
発熱をともなうことも
おしっこもできないくらい強い痛みでが出ることも
かゆみ、痛み、ヒリヒリ感
赤いぶつぶつ
水ぶくれ
水ぶくれが破れると、皮膚がただれる
太もものリンパ節の腫れ
発熱をともなうことも
症状が起こる場所 ・亀頭
・ペニス
・肛門
・おしり
・太もも
・外陰部
・膣の入り口
・子宮頸管
・膀胱
・おしり
・太もも
治療しないと 髄膜炎を起こすことも 髄膜炎を起こすことも

症状などを見ても、性器ヘルペスは、男性より女性の方が重症化しやすいということがわかりますね。

また、妊婦が性器ヘルペスに感染している場合、お腹の中の赤ちゃんが「新生児ヘルペス」に感染するリスクが高くなります。
この「新生児ヘルペス」ですが、治療しなければ90%の確率で死に至るという非常に恐ろしい病気です。
早期に治療を行うことができれば、命は助かる確率が上がるようですが、多くの場合は後遺症が残ってしまうそうです。

新生児ウィルスは、産後2週間以内に急激に進行し、何の治療も施されなければ、90%は死に至る恐ろしい病気です。早期発見で抗ウィルス剤を投与すれば、助かる確率は高くなりますが、多くの場合、残念ながら後遺症が残ってしまいます。

また、性器ヘルペスなどの性病に感染していると、HIV(エイズ)に感染する確率が、30%~50%も高くなるというデータもあります。

性器ヘルペスに感染する原因は?

性器ヘルペスは、主に性行為によって感染する性病です。
例えば、

  • セックス
  • アナルセックス
  • フェラチオ
  • クンニ
  • キス(ディープキス)
  • ヘルペス(口唇、性器)を触った手で、性器をさわる

などの行為で、感染する可能性があります。

また、ヘルペスウイルスは非常に感染力の強いウイルスです。
そのため、感染者が使用した「タオル」や「トイレ」などに触れることで、感染してしまう可能性もあるんです。

性器ヘルペスの検査はどこですればいいの?

性器ヘルペスは、感染すると痛みをともなう症状や、水ぶくれなどの症状があらわれるので、比較的自分でも判断しやすい性病ではあります。
しかし、「かゆみ」や「痛み」など、症状の軽い場合、感染に気づかず、そのままにしてしまっていることが多いんです。
クラミジアについで、日本で2番目に感染者数が多いのも、感染していることに気づかず性行為を行い、相手にうつしてしまっているというのが現状です。

性器ヘルペスに感染しているかどうかを確実に判断するには、検査を行うしかありません。
性器ヘルペスの検査ですが、病院で検査を行う場合、

  • 男性:泌尿器科
  • 女性:産婦人科(婦人科)

で、検査を受けることができます。
病院で診察・検査を行う場合の費用もまとめてみました。

診察料 3,000~5,000円/1回
検査代 2,000円~10,000円/1回

※上記は保険適用外のおよその金額です。保険適用については、病院の治療方針により異なります。

参考:STD研究所 性病の総合情報サイト

性器ヘルペスに感染している場合、同じ性行為で感染する、クラミジアに感染している可能性もあります。
もしいままで、性病の検査を受けたことがなければ、一度性病全般の検査を受けてみることをおすすめします。

病院で検査を受けるのは、少し抵抗があるという場合は、性病の検査キットを使ってみるのも一つの方法です。

性器ヘルペスは治るの?

一度「ヘルペスウイルス」に感染すると、残念ながら完治することはありません。

ウイルスによっておこる症状は、薬を飲んだり、軟膏を塗ることで、早く治すことはできますが、ウイルス自体が完全に無くなることはなく、体内に潜んでいる(潜伏)状態となります。
潜伏しているヘルペスウイルスを、死滅させる薬は現在のところありません。

また、2型ヘルペスウイルスに感染した場合、1年以内に80%以上の方が再発しているというデータがあります。
ちなみに、1型ヘルペスウイルスに感染した場合の再発率は、20%程度です。

再発の原因としては、以下のようなことがあげられます。

  • 疲労
  • ストレス
  • 睡眠不足
  • お酒の飲み過ぎ
  • 紫外線
  • 性感染症
  • 生理前
  • 性行為
  • 免疫力の低下

性器ヘルペスの再発は、疲れが溜まっていたり、強いストレスを感じていたり、風邪をひいて熱を出している時などに起こります。
また、女性の場合は生理前に再発することもあります。
つまり、体の免疫が低下している時に再発の可能性が高いというわけです。

性器ヘルペスの治療薬

バルトレックス(バラシクロビル)

バルトレックス(バラシクロビル)は、性器ヘルペスの治療に使われる薬です。
日本性感染症学会の治療ガイドラインでも、初めての感染、再発ともに、 バルトレックス(バラシクロビル) を投与して治療を行うと書かれています。

商品名 バルトレックス
有効成分 バラシクロビル
商品説明 バルトレックスは世界で広く使用される抗ヘルペスウィルス薬です。
ヘルペスウイルスによる症状をウイルス増殖を抑えることが可能です。
備考 バルトレックスの有効成分「バラシクロビル」は、性器ヘルペス以外に、単純疱疹、帯状疱疹、水ぼうそう(水痘)の治療に効果を発揮します。
同等の治療薬にアシクロビル(ゾビラックス)があり、バルトレックスは成分の吸収がよいため、服用回数がアシクロビルより少ないのが特徴です。

性器ヘルペス感染を予防する方法は?

性器ヘルペスは、主に性行為によって感染する性病ですので、コンドームを正しく付けることが推奨されています。
ただ、先にもお伝えしたように、性器ヘルペスは非常に感染力の強いウイルスで、コンドームだけで感染を予防することができません。

感染源となる「ヘルペスウイルス」に触れない

ということが、唯一性器ヘルペス感染を防ぐ方法と考えてもいいかもしれません。

性器ヘルペスウイルス感染症についてのまとめ

  • 日本で2番目に感染者数の多い性病(年間感染者数7万人以上)
  • 感染すると、かゆみや痛み、水ぶくれなどの症状が起こる
  • 男性より女性の方が重症化しやすい
  • 性器ヘルペスに感染していると、HIV(エイズ)に感染する確率が、30%~50%も高くなる
  • 一度感染すると、完治することはない
  • お腹の中の赤ちゃんが「新生児ヘルペス」に感染するリスクが高くなります
  • 感染力が非常に強い
  • コンドームだけで感染を予防することができない

いかがでしたか?

性器ヘルペスは、一度感染すると完治することのない病気です。
非常に感染力の強いウイルスなので、パートナーや、性行為の相手、また家族にうつしてしまう可能性もあります。

また、女性が妊娠している場合、お腹の中の赤ちゃんが「新生児ヘルペス」という、治療しなければ90%の確率で赤ちゃんが死亡するという恐ろしい病気に感染する可能性もでてきます。

性器ヘルペスを含め、もしいままで、性病の検査を受けたことがなければ、一度性病全般の検査を受けてみることをおすすめします。

いま抱えているそのモヤモヤや心の不安を、すぐに取り除くことができますよ。

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