HIVに感染すると、2～6週で、「発熱」「喉の痛み」「倦怠感」「筋肉痛」など、インフルエンザのような症状が出る場合があります。
なぜこのような症状があらわれるのかというと、体内に入ったHIVウィルスが、爆発的に増えることが原因です。
これはHIVに限ったことではなく、風邪やインフルエンザでも同じで、体内にウィルスが入ることでこのような症状は起こります。
ここで考えていただきたいのは、HIV感染で起こる初期症状は、風邪やインフルエンザと同じような症状なので、見分けることが非常に難しいということです。
実際にあらわれる「発熱」や「喉の痛み」という症状、そして症状が出る仕組みまで同じなわけですから、症状だけでHIVを判断するのは、医師でも難しいのです。
以下に、HIV感染した際に起こるといわれている、初期症状についてまとめてみました。
必ずしもこの通りの症状が起こるというものではありませんが、参考にご覧ください。
HIVの初期症状
発熱 96%
37度以上の熱が出ると多くの報告がされています
また、39～40度程度の高熱が出ることもあります。
HIV感染者のアンケートによると、初期症状のあった、90%以上の人が発熱があったと回答しています。
また、血液中にHIVウィルスが入ってきたことで、夜中に寝汗をかく場合もあるようです。
»HIVに感染！？発熱はいつから？何度くらい？どのくらい続く？
リンパ節の腫れ 74%
リンパは体内に侵入してきたウィルスを退治し、体を病気から守る役割を持っています。
HIVの初期症状として起こるリンパ節の腫れも、この働きによるものです。
腫れやすい場所
- 後頭部 （髪の生え際、首の後ろ側）
- 耳たぶの前側、耳の下裏側
- 顎のライン・顎の下
- 鎖骨 （首の付け根から胸の上部）
- わきの下
- ひじの内側
- おなか周り
- 太ももの付け根
- ひざの裏側
喉の痛み 70%
扁桃腺が腫れたり、食事やつばを飲み込む時などに喉の痛みを感じます。
また、乾燥した咳が続く場合もあります。
発疹 70%
HIV感染の代表的な初期症状の一つに、発疹があります。
初期症状として、以下4つのような発疹があらわれます。
急性期皮疹
胸や背中にあらわれる、直径5～10mm程度の小さく赤い発疹です。
1〜2週間で自然に治ります。
帯状疱疹
帯状に赤い発疹と水ぶくれができます。
最初は患部がヒリヒリするような痛みがあり、徐々に虫に刺されたような水ぶくれや赤い発疹になります。
単純ヘルペス
体のどの場所にも感染し、皮膚に水ぶくれを起こします。
代表的なものとして、口周辺にできる「口唇ヘルペス」、性器周辺にできる「性器ヘルペス」があります。
症状としては、小さな水ぶくれがいくつかできて、痛がゆい状態が続きます。
脂漏性皮膚炎
皮脂分泌が盛んな顔や頭にかゆみを伴う赤い発疹があらわれます。
筋肉痛・関節痛 54%
筋肉痛や関節痛がだけが症状としてあらわれるのではなく、発熱とともにあらわれることが多いようです。
痛みとしては、インフルエンザの時に関節や体が痛くなるのと同じような症状です。
»HIVによる筋肉痛？HIV初期症状で筋肉痛が起こる箇所一覧
全身倦怠感 32％
だるい、しんどい、やる気が出ないなど、倦怠感を感じることがあります。
これらの症状は、普段生活をするなかでもあるので、HIVだから出る症状ではありません。
発熱などの症状とともにあらわれることが多いようです。
下痢 32%
頭痛 32%
吐き気・嘔吐 27%
体重減少 13%
口腔カンジダ 12%
神経症状 12%
参考資料: HIV感染者の早期発見と社会復帰のポイント―プライマリケアにおける検査と病診連携
上記で記している、「筋肉痛」、「全身倦怠感」などの症状については、単体で起こるというよりも、発熱などと共に起こる症状と考えていただいてもいいかもしれません。
例えば、風邪を引くと、全身の倦怠感があったり、下痢になったりと症状が出てきますよね。頭痛や吐き気も起こるかと思います。
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HIV初期症状はなぜ起こるのか
そもそも、HIVに感染すると、なぜ初期症状が起こるのかご存知ですか？
HIVに感染すると、体内でHIVウイルスが急激に増えてしまいます。
感染直後は、HIVウィルスに対する抗体（免疫）がないので、HIVウイルスがどんどん増えていくんです。
そして、急激に増えたHIVウイルスが血液に侵入し全身に移動します。
このように、ウイルスが血液に侵入し全身に移動することを「ウイルス血症」といいます。
つまり、HIV感染で熱が出たり、風邪のような初期症状が起こる原因は、HIVウイルスが急激に増えたことによる「ウイルス血症」によるものです。
いつ頃からHIV初期症状が起こるのか
HIV感染不安行為の翌日～2.3日後、熱が出たり、喉が痛いなどの症状が出ると、「まさか、HIVの初期症状・・・？」っと不安になりますよね。
しかし、「HIVの初期症状（急性HIV感染症）」は、2～6週で起こる症状なので、翌日～2.3日後であれば、単なる風邪や、体調を崩しただけと考えてもいいでしょう。
詳しく解説していきますね。
先の項目でも解説しましたが、HIV感染で初期症状が起こる原因は、HIVウイルスが急激に増えたことによる「ウイルス血症」によるものです。
注目していただきたいのが、HIVウイルスが急激に増え始めるのは、「2～6週」という点です。
「翌日～2.3日後」では、HIVウイルスはまだ急激には増えていない期間なんです。
よって、HIV感染不安行為のすぐ後に、発熱や筋肉痛などの症状が出ても、それはHIV感染によるものではありません。
HIV初期症状はどのくらいの期間続くのか
HIV感染による初期症状は、「1週間～2週間」続き、その後自然に治ると、多くのサイトや書籍で紹介されています。
この「1週間～2週間」というのは、どのような根拠に基づき紹介されているのかというと、「HIVの初期症状（急性HIV感染症）」が起こる「2～6週」と関係しています。
まず、下記の図をご覧ください。
これは、HIVウイルスの量を表した図です。
「HIV初期症状はなぜ起こるのか」でも解説したように、HIVウイルスが急激に増え始めるのは「2～6週」です。
これは、HIVに対する抗体ができ、体の防御システム（免疫）が働き始めた結果です。
※ただし、これは一時的にHIVウイルスの量が減るだけで、体内のHIVが無くなることはありません。
- 症状があらわれ始める（2週目）
- それから1～2週間症状が続く（2～4週目）
- その後、症状が治まる（5～6週目）
このようなことから、一般的に「1週間～2週間」症状が続くとされています。
HIVの初期症状があったからと言って必ずHIV感染とは限らない
私の友人に、海外でコンドームなしのセックスを行い、その2週間後くらいに、39度を超える発熱があり、めったに下痢になることがないのに下痢になり、体重も減少、そして帯状疱疹まで出た男性がいます。
その時彼は、
「完全にHVに感染した・・・」
っと、愕然としたそうです。
症状は2週間程度続き、治まったそうなんですが、検査を受けられる3ヶ月の間耐えるのが、本当に苦しかったと言っていました。
毎日インターネットでHIV、エイズのことを調べ、完全にエイズノイローゼに・・・
何度もエイズ電話相談に電話をかけたそうです。
そんな毎日を過ごしていましたが、結局2ヶ月で耐えきれなくなり、検査を受けることに。
保健所の検査日を調べると、月に2回しかなく、検査を受けられる時間も、昼の1時間だけ。
仕事の都合もあり、保健所での検査はあきらめ、自宅検査キットでの検査を行ったそうです。
結果、なんと陰性。
2ヶ月だったこともあり、その時はこの結果が信じられず3ヶ月後に再度検査を行ったところ、やはり「陰性」でした。
これだけの症状があったにも関わらず、「陰性」です。
彼のように、完全にHIVの初期症状と同じような症状が出ても、HIVではなかったんです。
HIVは検査をしないと本当に分からない病気です。
初期症状だけで、
「自分はHIVに感染してしまった」
と判断してはいけません。
HIVかどうかが分かるのは、HIV検査をする以外に方法はありません。
もし不安なことがるのであれば、まずは検査を受けてみましょう。
いま抱えているそのモヤモヤや心の不安を、すぐに取り除くことができますよ。
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